乳幼児突然死症候群(SIDS)の定義の理解(添い寝が原因?exciteニュースの誤用例の紹介)
乳幼児突然死症候群(SIDS)の定義を理解しよう
当ブログを訪れて頂いた方の検索キーワードの一つに、「ベビーセンス」と言うものが非常に多くあります。
ベビーセンスとは、赤ちゃんの呼吸活動をモニタリングし、乳幼児突然死症候群(SIDS)の予防を行う装置です。
非常に多くのお父さん、お母さんが生後間もない我が子の安全を気にかけていることがわかります。
最近ではかなり言葉として「乳幼児突然死症候群」が浸透してきましたが、未だに定義について十分理解していない記事を見かけます。
改めて復習しますと、乳幼児突然死症候群(SIDS)の定義は以下の通りです(厚労省HPより引用です)。
I 乳幼児突然死症候群(SIDS)の定義:
(Sudden Infant Death Syndrome: SIDS):
それまでの健康状態および既往歴からその死亡が予測できず、しかも死亡状況調 査および解剖検査によってもその原因が同定されない、原則として1歳未満の児に 突然の死をもたらした症候群。
いまいちピンとこないかもしれないですが、平たくいうと、「結局、死亡原因がわからない」時にSIDSと診断されます。
ですので、うつぶせ寝による窒息死などは、SIDSとは区別されるべきです。
もちろん、赤ちゃんの不測の事態を避けるために、1歳未満のうつぶせ寝を避けることは大切ですが、定義を混同すると、ややこしくなってしまいます。
しかしながら、exciteニュースでは以下のような誤用がありました。
乳幼児突然死症候群(SIDS)、実は70%が「親の添い寝が原因」!
この記事の問題点は、乳幼児突然死症候群(SIDS)と添い寝を直接的に結びつけている点です。
乳幼児突然死症候群(SIDS)、実は70%が「親の添い寝が原因」!
この記事の問題点は、乳幼児突然死症候群(SIDS)と添い寝を直接的に結びつけている点です。
前出の通り、SIDSは死後に原因究明が困難です。
「親の添い寝」を原因とする場合、死因は親が覆いかぶさることによる圧死、窒息死と言えます。
この場合、死後解剖で原因の推定はできますので、SIDSとは区別されるべきです。
乳児のリスク回避のために添い寝を避けることは有効ですが、あくまで「睡眠中の死亡事故の回避」であって、「乳幼児突然死症候群(SIDS)の回避」ではないですね。
以下の記事で解説していますが、乳幼児突然死症候群(SIDS)の原因は、「睡眠時の呼吸活動の低下」であり、主な要因は「温めすぎ」です。
ですので、ここで添い寝を乳幼児突然死症候群を結びつけるのは、やや短絡的と言えます。
ちなみに、調べてみると、アメリカの医学会で添い寝と乳幼児突然死症候(SIDS)の因果関係を指摘している事例が見つかりますが、多くは1990年代の報告で、まだ窒息死や圧死と乳幼児突然死症候群(SIDS)が混同されることが多い時代のものです。
添い寝が乳幼児突然死症候群(SIDS)の原因となりうるケースもある
しかし、実際には、添い寝が乳幼児突然死症候群(SIDS)の原因となりうるケースもあると思います。
それは、添い寝をした際に、親の掛け布団により乳児を温めすぎているケースです。
1歳未満の赤ちゃんの場合、体温が高めで、冬場でも大人より薄手の掛け布団が推奨されます。
当然、大人用の毛布などは好ましくありません。
しかし、親心から「良かれと思って」赤ちゃんに添い寝した際に、自分の毛布もかけてしまうお母さんは多いのではないでしょうか?
この場合、赤ちゃんは「温めすぎ」の状態となり、深い睡眠時に呼吸活動の低下を起こす可能性が高まります。
ですので、一概に添い寝を原因とする説を否定することはできません。
特に、乳幼児突然死症候群の発生率は冬場に高くなることからも、「添い寝による温めすぎ」は避けるべきと言えます。
乳幼児突然死症候群(SIDS)関連の記事
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