ファゴットのソロがあるオーケストラ曲を解説するよ
2018/05/29
ファゴット吹きのまほパパがファゴットが活躍するオーケストラ曲について解説するよ
こんにちは!
普段は育児関係の記事が多いですが、実はアマチュアオーケストラでファゴットを演奏することが趣味なんです。
気づけばファゴット歴も17年なので、若手ファゴット奏者の皆様のお役に立つ記事を書ければと思い、ファゴット関連の記事も書くことにしました。
この記事では、ファゴットソロがあるオーケストラ曲について解説したいと思います。
譜面を引用していますが、基本的に著作権が切れた曲のみですので、ハチャトゥリアンやショスタコーヴィチなど著作権が残っている曲は対象としていません。
本当は、ショスタコーヴィチはファゴット大活躍なのでぜひ譜面付きで紹介したかったのですが、没後50年が経過していないので仕方がないですね。
ちなみに、ベートーベンの曲だけの記事も書きましたので、こちらもご一読ください。
それでは、早速行きましょう!
ストラヴィンスキー作曲 バレエ音楽「春の祭典」
いきなり最高難度の曲の登場です。
通常「ハルサイ」で知られるこの曲。
クラシック音楽ファンの間では非常に知名度を誇ります。
ファゴットを始めたばかりに人はもしかしたら知らないかもしれないのですね。
まず、冒頭がファゴットのソロから始まります。
しかも、High Cから始まります。
まずは、何も言わずに以下の譜面を見てみてください。
冒頭から、非常に長いソロが延々と続きます。
楽譜を見ていただければわかると思いますが、音域は非常に高く、リズムも難しいです。
出だしのHigh Cはタンギングを行わず、無音から連続的に音を作る必要があります。
また、音程が正確なことは絶対です。
緊張感漂う冒頭のHigh Cの音程がズレていたら台無しです。
また、High DやHigh Cisなど運指が難しく、音程も取りにくい音がたくさん出てきます。
まさに、最高難度に相応しい譜面ですね。
実は、私はこの曲を演奏したことがありますが、ファゴット人生で最も緊張した本番でした。
ちなみに、一曲目の終盤には半音低いソロが出てきます。
フレーズ自体は冒頭と比べると短いですが、半音下がったぶん、指遣いが半端なく難しくなっています。
私は変え指を駆使して乗り切りましたが、全て正規の指で演奏するのはほぼ無理ゲーだと思います。
チャイコフスキー 交響曲第5番
チャイ5の愛称で親しまれて居る、チャイコフスキーの交響曲第5番です。
5番に限らず、チャイコフスキーは交響曲でファゴットの重要なソロをたくさん書いています。
まずは、5番のソロについて解説をしたいと思います。
Allegro con animaからクラリネットとオクターブでソロがあります。
このソロは譜面自体は難しくないですが、実際にオーケストラで演奏をするのは非常に難しいソロです。
まず、クラリネットとオクターブなので、音程があっていないとものすごくかっこ悪いです。
そして、ppなので、弱く演奏をする必要がありますがアーティキュレーションがおろそかになってはいけません。
スラースタッカートのニュアンスや、休符の感じ方などを完全にクラリネットと合わせる必要があります。
また、指揮者もこだわりたい箇所ですので、難しい注文が来る可能性もあります。
1楽章の再現部で似たソロがありますが、
こちらは完全に一人のソロですので、むしろこちらの方が気楽かもしれません。
そして、2楽章でもソロは何箇所か出てきます。
中間部のソロは結構難しいですよ。
音域が高めで難しいソロです。
ここのソロでは、高いHの音程をしっかり当てることがポイントですね。
クレッシェンドで膨らむ箇所なので、音程は上ずりやすい傾向がありますので、そこを意識して演奏すると良いと思います。
クレッシェンドも、しっかりとHの音が頂点になるイメージで吹くとかっこいいですよ。
また、クラリネット奏者とも要相談ですが、最後2小節の音量を下げてエコーにしても演奏効果が上がると思います。
私は2回演奏したことがありますが、非常に緊張する箇所ですね。
少し後に、全音低いソロがありますが、こちらも難しいソロになります。
ここはfからffで演奏する必要があるので、しっかりと息を吹き込んで楽器を鳴らす必要があります。
ちなみに、H-DisのトリルはL4を使うとと楽に吹けます。
そして、3楽章ですが、ここでもこれでもかというぐらいソロが出てきます。
これでもかというほど酷使されていますが、それがやり甲斐があっていいですね。
最初はオーボエとオクターブですので、音程をしっかりと合わせることが重要なのと、高いAの音をしっかりと時間をかけて吹くとかっこいいと思います。
56小節目から始まるフレーズは完全に一人なので、ある程度自由に吹きたい気持ちになりますが、低弦とリズムが合わないと崩壊してしまうので、注意する必要があります。
出だしのHDCは指揮者によっては自由に吹かせてくれるので、ルバートをかけてしまいましょう。
私は、思いっきり時間をかけて吹くのが好きです。
チャイ5は他にも難所はたくさんありますが、それはまた別の記事で紹介したいと思います。
チャイコフスキー:交響曲第6番「悲愴」
チャイ5が来たら次は悲愴ですね。
悲愴は言わずもがな、ファゴットソロから曲が始まります。
曲の冒頭なので、プレッシャーとの戦いですね。
指揮者によってはppを限界まで要求するので、その場合は非常に厳しいですね。
リードを楽に低音が出せる状態に調整すると良いでしょう。
ちなみに、私はこの曲のトップを演奏する予定でしたが、娘ちゃんが演奏会直前に生まれることになったので、2ndと代わってもらい、吹き損ねました。
超有名曲なので、また演奏する機会はやってくると思いますが・・。
それほど難しくはないですが、1楽章Moderatoのクラリネットと掛け合いのソロは吹いていて楽しいですね。
そして、最も緊張感が走るのが、クラリネットから続けて演奏する以下の短いフレーズです。
ppppppと書いてありますが、直前のクラリネットソロと連続性を持つ必要があります。
スコアを見ると、クラリネットはpppppなので、さらに音量を弱める必要があります。
クラリネットはファゴットとは異なり、弱音が非常に得意な楽器なので、クラリネットが本気でpppppを吹くとファゴットには太刀打ちできません。
クラリネット奏者と談合して少し大きめに吹いてもらうか、ミュートを使用することをオススメします。
この箇所はバスクラリネットで演奏するケースも多いですが、オリジナルにこだわってファゴットで演奏をする指揮者もいますので、その場合は腹をくくりましょう。
チャイコフスキー:交響曲第4番
チャイ5、悲愴と来たら次はチャイ4ですね。
チャイ4にも重要なファゴットソロはありますが、難易度はチャイ5や悲愴と比べるとそれほど難しくありません。
2楽章のソロは長めのフレーズで、完全なソロなので感情を込めて曲想をつけることが大切と言えるでしょう。
4楽章は、有名な「私は共産党員」の歌詞で有名なフレーズのソロがあります。
それほど難しくないので、特に困ることはないと思います。
今回はここまで
ファゴットソロのあるオーケストラ曲を網羅しようと思って記事を書きましたが、なんと4曲だけで記事がこんなに長くなってしまいました。
春祭とチャイコフスキーの交響曲だけです。
記事が長すぎると読みづらいと思いますので、続きは第2弾の記事で紹介したいと思います。
第2弾は以下のベートーベン特集ですよ!